元システムエンジニアで、現在患者の「いなほ」です。
ブログを始めて20日間になりました。
世の中には「障害者手帳」と言われるものがあるのをご存じでしょうか?
どんな人が手帳を持つことが出来て、どんなサービスを受けられるのか、少しだけ触れてみたいと思います。
- あくまで患者本人による体験談、参考情報なのでご注意ください。
不利益を被ったとしても責任を負うことは出来ません。 - ブログ内の病気(疾患)ページの取り扱いについては、運営方針をご参照下さい。
障害者手帳の種類
主に、身体障害者手帳と精神障害者手帳があります。
※他にも療養手帳などがありますが、飛ばします。
手帳の認定審査には、主治医の診断書が絶対に必要です。
主治医が「書きます」と言わない限り、その時点で手帳は諦めるしかありません。
診断書は専用の書式があります。
身体障害者手帳の場合は、障害の部位によって書式が異なります。
精神障害者手帳の場合は、同じ書式になります。
認定審査は各都道府県の審査会(?)で行われます。
認定されると重症度に応じた等級の手帳が発行されるようになっています。
主治医も患者もは診断書に何級希望とか書くことは出来ません。が出来る場合がありますが、必ず通るとは限りません
何級か決めるのはあくまでも各自治体の審査機関です。
(どこでいつ誰が審査しているのかはよく分かりません・・・が
診断書をいっぱい出している先生はどのように書けば何級になるか分かるっぽいです)
また、審査過程で患者が呼ばれることはありません。
自治体に診断書を提出したら、自治体から電話かお手紙が来るのを待つだけです。
(1~3ヶ月かかります)
僕の場合、身体障害者手帳は申請から約1ヶ月で電話が来ました。
詳しい申請方法については、検索すればいっぱい出てきますので飛ばします。
手帳の種類と違い | 身体障害者手帳 | 精神障害者手帳 |
---|---|---|
手帳の正式名称 | 身体障害者手帳 | 精神障害者保健福祉手帳 |
根拠となる法律 | 身体障害者福祉法 | 精神保健福祉法 |
対象となる部位 | 1、視覚障害 2,聴覚または平衡機能の障害 3,聴覚障害、平衡機能障害 4,音声機能、言語機能又は咀嚼機能の障害 5,肢体不自由 6,上肢機能障害・移動機能障害 7,内蔵の機能障害(内部障害) | 精神疾患 |
等級 (1級が一番重い) | 1~7級 (障害の部位によって異なる) | 1~3級 |
手帳の有効期限 | なし (一定期間後に再審査の 場合もある) | 2年 |
受付場所 | 自治体の福祉担当窓口等 | 自治体の保健所もしくは 福祉担当窓口等 |
手帳表面に書いてある 表記 | 身体障害者手帳 | 障害者手帳 |
手帳の色・形式 | 自治体により異なる | 自治体により異なる |
参考サイト:厚生労働省(障害者手帳)
例えば、内臓の機能障害(内部障害)の場合1~4級まであり、ぜんそく(気管支喘息)は身体障害者手帳の対象疾患(呼吸器機能障害)になっています。
数あるアレルギー疾患の中で、ハッキリと対象疾患に明記されているのはぜんそくだけです。
なんでこういう定義になっているのは、よく分かりません。
ちなみに、僕は両方持っています。
両方持っていても余り意味ないのですが・・・。
障害者手帳で受けられるサービス
手帳を持つことで様々なサービスを受けることが出来ます。
身体障害者手帳 | 精神障害者手帳 | |
---|---|---|
福祉機器の交付 | あり(下記補足参照) | 不明 |
障害者枠での求人 | あり(障害者枠での応募可能) | あり(障害者枠での応募可能) |
医療費 (健康保険の自己負担分) 助成 | 等級によってあり (自治体によって異なる) | あり (手帳の有無とは別に 自立支援医療制度の 活用により助成が受けられる) |
所得税、住民税の 障害者控除 | あり (1,2級は特別障害者で 控除額アップ) | あり (1級は特別障害者で 控除額アップ) |
贈与税の非課税 | 等級によって異なる | 等級によって異なる |
鉄道(JR) ※割引対象になるのは 乗車券と急行券のみで、 特急券やグリーン券等は対象外 | 1,介助者と同伴:5割引 2,単独:100km以上5割引 | なし |
鉄道(私鉄) | 大半がJRと同様 (西日本鉄道、ゆりかもめのように 独自の制度がある 鉄道会社もあり) | なし (会津鉄道、西日本鉄道など 一部の鉄道会社は 行っているとの情報あり) |
バス | あり(5割引) | バス会社によって異なる (高速・夜行バスは 割引不可の場合が多い) |
航空会社 | あり | あり |
タクシー | あり(下記補足参照) | あり(下記補足参照) |
ガソリン代の助成 | 自治体によって異なる (福祉タクシー券とどちらか 選択になる自治体が多い) | 自治体によって異なる (福祉タクシー券とどちらか 選択になる自治体が多い) |
自動車税・ 軽自動車税減免 | あり (排気量が多いと一部減免) | 1級所持者のみあり (排気量が多いと一部減免) |
高速道路、有料道路の 通行料金 | あり(5割引) (ETCも申請すれば5割引) | なし |
駐車禁止除外標章の交付 ※自治体により名称が異なる | あり (等級によって対象外もあり) | 自治体によって異なる |
携帯電話料金 (docomo、au、 Softbankの大手3キャリア) | あり (キャリアによって 割引内容が異なる) 格安SIM会社は殆どなし | あり (キャリアによって 割引内容が異なる) 格安SIM会社は殆どなし |
郵便局 | 1,2級の手帳所持者に対して 毎年ハガキが交付される | なし |
NHK受信料 | 所得状況に応じて減免の制度あり | なし |
参考サイト:Wikipedia
補足
「自治体によって異なる」と記載した箇所ですが、本当にバラツキがあるのでご注意ください。
東京都の都営交通パス
手帳を持った東京都内に住民票のある方は、都営交通が自由に乗れるフリーパスがもらえます。
身体障害者手帳と精神障害者手帳で有効期限が異なりますが、パスの内容は一緒です。
気になる方はリンクをたどって下さい。
ちなみに私鉄にまたがる区間(例:都営浅草線:大門~京急線:京急蒲田)で私鉄区間だけ回数券を使う場合、IC乗車券(PASMO)より磁気券の方が良い時があります。
一度PASMOで交付を受けると、次の更新まで券種の変更は出来ません。
福祉機器の交付
自治体が障害部位に応じて独自に決めているようです。
精神障害者手帳の場合は調べたことがないので不明です。
ぜんそくの場合、下記が該当するものと思われます。
- 酸素飽和度測定器(パルスオキシメーター)
- ドラマでも見かける、指に挟んで血中の酸素濃度を測るもの
- ネブライザー(吸入器)
- 発作を起こしたときに鎮めるアイテム
気になる方はAmazonで普通に売っています。
タクシー
タクシー会社の運賃割引と、自治体による福祉タクシー券発給(住んでいる地域限定で使える金券)の2つに分かれます。(大半は併用可能)
- タクシー運賃割引
- どのタクシー会社にも基本的にある(大体が1割引)と思います。
- 福祉タクシー券の発給
こうやって比較してみると・・・
身体障害者手帳の方が優遇されている傾向があります。
確かに身体障害者手帳の方が歴史も古いので、対応が異なるのも分かります。
JRは相変わらず身体障害者手帳所持者のみで乗車券しか半額になりません。
仮に東京から新大阪まで新幹線で行ったとしても、特急券・グリーン券は半額になりません!!
JR東日本の「えきねっと」やJR東海の「エクスプレス予約」の割引を使った方が、安い場合もあります。
また、鉄道やバスを利用する際は、必ず写真が付いた面を係員に見せる必要があります。
ただ、ICカードをタッチしたときの自動割引が、スルッとKANSAIエリアや一部バス会社等で始まっています。
いちいち手帳を見せなくても割引が受けられるところも出てきました。(なぜか、ICカードを最初に出したSuicaとPASMOは始まっていません。)
※2023年3月18日よりSuicaとPASMO利用時の割引サービスが始まりました
ただし、大半の鉄道会社が本人と介護者が同時利用したときで、改札で手帳を見せる手間が省けるようになった程度です。自動改札のない駅を利用する方には何のメリットもありません。
絶対に止めて頂きたい事
障害者の自立と社会生活上で不利益を被らないように作られた制度なのですが、サービスを悪用する人が後を絶ちません。
次のケースは実際に起きたことで、いずれも警察に捕まっています。
ETC車載器付け替えによる不正走行
本来ETCの割引は運転対象者や対象車両が厳格に決まっていて、特に事業用(業務用)の車両は割引対象外となっています。
ところが、割引登録したETC車載器を業務用の車に勝手に付け替え、長期間に渡り不正走行していたとして逮捕された人がいます。
障害者割引制度を悪用してETCレーン走行を繰り返していた者の逮捕・送致について | NEXCO東日本 (e-nexco.co.jp)
NEXCO東日本HPより引用
親名義の都営交通無料乗車券の不正利用
母親名義の都営交通無料乗車券で不正乗車したとして、逮捕された人がいます。
しかも、逮捕されたのは、東京都交通局の職員(駅員)でした。
都営交通無料乗車券についてはこちら
Wikipediaより引用
こういう不正利用が続くと、本来サービスを受けられるはずの障害者本人に重大な影響を及ぼしかねないです。